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「カラーバーと1KHz」映像と音声の基準

2010.02.22

WEBの映像や音声には明確な基準がなく、特に音声に関してはバラバラな音量でアップされています。映像サイトでコンテンツやサイトごとに音量を調整してイライラしたことは無いでしょうか? これを改善するにはやはり放送基準である「カラーバーと1KHz」をWEBでも活かすことだと思います。

深夜に色が並んだ”カラーバー”の映像と、「ぴーーー」と言う1KHzの”テストトーン”の音が鳴ってるのを見たことがあると思います。これは放送する映像が無いから流してるワケではないのです。「放送基準信号(テストパターン)」などと言いまして、映像や音声を「適切にハンドリング」するために最低限に知っておきたいモノの1つです。
どんなに「良い映像」を作っても作品ごとに色味や音量がバラバラだったり、放送局で受け付けてくれなかったりしては大変です。そこで映像や音声の制作時に基本としてるのが「放送基準のカラーバー/1KHz」のような規格になります。

「YouTubeにアップしたカラーバー映像」

映像制作のプロが集まるポストプロダクションは「カッコいい映像を作って、ステキな音楽や効果音ミックスするアーティスト集団」のイメージですが、何よりも大切にしてるのが「放送基準に合わせて制作・管理するスペシャリスト」なことです。この品質管理の判断基準としてるモノの1つが「カラーバー/1KHz」で、業務用の「波形モニタ」、「ベクトルスコープ」、「VUメーター」と呼ばれる測定器を通してチェックしています。
測定器を確認しながらモニタやスピーカを調整することで、適切なコンディションの制作環境を構築することが可能です。さらに「撮影」、「編集」、「放送局」とそれぞれの場所で機材やスタッフが変わっても、適切な色味や音量に近づけて作業できることになります。

写真や印刷業界では「キャリブレーター」を使ってモニタとプリンタの色味を合わせることで、カメラマン、編集者、デザイナー、印刷業者で最終出力をシェアできるのと一緒です。やはり品質管理をすることで、クオリティの高い印刷物を提供していますよね。

同じようにWEB映像でも放送基準を取り入れることで、「すでにある番組やCMなどのコンテンツを再調整することなく使用できる」、「パソコンベースの編集機からポストプロダクションのハイスペックな機材まで、従来通りの制作方法で問題が起きにくく品質をキープすることが可能になる」などメリットが大きいと思います。
なんとなくでも「カラーバーと1KHz」の意味と有効性は伝わりましたでしょうか?
ちなみに業務用測定器「波形モニタ」や「ベクトルスコープ」などは中古品でもに3〜40万円くらいします。そこに適切に繋ぐケーブルや中間機器など含めると最低でも1セット数百万近くは必要になってきます。食品や自動車と同じように品質管理には意外とコストが掛かります。何よりそれが「適切な状態であると判断できる知識と経験」も重要です。

ポストプロダクションなどの作業費を「高いだけ」と思うか、「品質を保つ選択」と思うか、単純なコスト削減と違った判断をして欲しいと思います。

ちなみにこの辺は、自分自身の経験値を活かして書いてますが、新しい技術が次々と出て来るのでテストと試行錯誤の繰り返しです。なので、全てが正しい情報ではないと思ってます。少しでも映像制作や品質アップに役立てば良いですけど…。

カラーバー